GAMCO Investors, Inc. v. Vivendi, S.A. (1)

市場に対する詐欺理論に対して反証が成功した判決が最近出たので取り上げます。GAMCO Investors, Inc. v. Vivendi, S.A., 2013 WL 765122 (S.D.N.Y. 2013)です。このVivendi事件は,被告と原告の間で,損害額について,利息を除いて約350万ドルとの取り決めがなされており,金額自体は,大きくないのですが,市場に対する詐欺理論に対する反論が成功した例として,注目に値すると思います。

Vivendi事件の判決は,Amgen事件の翌日に下され,判決では,Amgen事件の判決理由(ratio decidendi)である,クラスの認定の時点で重要性の立証が不要である点に言及しています1 。しかし,市場に対する詐欺理論が判例理論として有効か否かについては,言及していません。

本件は,フランスのVivendi, S.A.社がニューヨーク証券取引所に上場した米国預託株式(ADS: American depositary shares)を購入した原告による,取引所法10条(b)項および規則10b–5に基づく証券クラスアクションです。訴訟手続は,次の通り進みました。

  • 取引所法10条(b)項および規則10b–5に関する限り,被告は,訴え却下の申し立てが認められませんでした2

  • クラスが認定されました3

  • 正式事実審によらない判決は,認められませんでした4

  • 被告は,信頼の要件を除き,取引所法10条(b)項の要件について反論が許されず,既に真実が開示されていたという抗弁(truth-on-the-market defense)および価格に対する影響が存在しなかったという抗弁,および,原告が真実を知っていたという抗弁は,認められませんでした。

  • 逆に,原告は,開示に対して直接の信頼を置いていない点で譲歩しており,市場に対する詐欺理論による信頼のみに依拠していました。

  • 当事者は,Vivendi社のADSが効率的な市場で取引されていたことについて合意していました。

結局,残っている論点は,市場に対する詐欺理論に基づく信頼の推定が認められているかであり,この反証に際して,被告は,(1) Vivendi社のADSが効率的な市場で取引されていること,(2) 虚偽記載が価格に影響を与えたこと,(3) 市場に真実は開示されていなかったこと,および(4) 原告が真実を知らなかったこと,について争うことはできませんでした。この前提で,陪審によらない正式事実審(bench trial)が行われました。

とりえあず,今日はここまでです。

  1. Vivendi, 2013 WL 765122, at *6 n.76 (“Today, the Supreme Court decided Amgen Inc. v. Connecticut Ret. Plans and Trust Funds, which holds that proof of materiality is not a precondition to class certification. No. 11–1085, 568 U.S. —, — S. Ct. —, — L.Ed.2d —, 2013 WL 691001 (Feb. 27, 2012).”). []
  2. In re Vivendi Universal, S.A., 381 F. Supp. 2d 158 (S.D.N.Y. 2003). []
  3. In re Vivendi Universal, S.A., 242 F.R.D. 76 (S.D.N.Y. 2007). []
  4. GAMCO Investors, Inc. v. Vivendi, S.A., 2013 WL 132583 (S.D.N.Y. 2013). []