1ドル札のデザイン

 米国における一ドル札のデザインは、次のようなものです。

 金融法学会の海外金融法の動向[アメリカ]のための調べ物をしていて、米国で2020年12月27日に成立したConsolidated Appropriations Act, 2021の中に含まれる「Financial Services and General Government Appropriations Act, 2021」に含まれる「Administrative Provisions—Department of the Treasury」の中に次のような条文を見つけました。

SEC. 114. None of the funds appropriated in this Act or otherwise available to the Department of the Treasury or the Bureau of Engraving and Printing may be used to redesign the $1 Federal Reserve note.

 要は、1ドル札のデザインを変えるなということです。なぜ、1ドル札のデザインにこだわるのか、なぜ、指定されているのが1ドルだけなのか(この条文の起草者は、ワシントンのファンではあるけれども、ジェファーソン(2ドル札)、リンカーン(5ドル札)、ハミルトン(10ドル札)、ジャクソン(20ドル札)、グラント(50ドル札)、フランクリン(100ドル札)のファンではないということだろうか)、など、疑問が湧いてきます。誰かのこだわりなのでしょうか。こういう条文は、誰の目にも触れずに、歴史に埋もれていくのでしょうけれど、面白いと思ったので光をあててみました。できるものなら、この条文の起草者に話を聞いてみたいところです。

ケースブックのアップデート(2021年)

 2021年も多くの著名な商法関係のケースブックのアップデートがありました。私が更新を記録しているものの中では、次のものが挙げられます。

 個人的な注目は、最初に掲げたJohn C. Coffee, Jr., Ronald J. Gilson & Brian J.M. Quinn, Cases and Materials on Corporations (9th ed. 2021)です。前の版が2012年ですから9年ぶりの改訂になります。先日気づいたばかりなのですが、どのような更新がなされたのか、確認するのが楽しみです。

 こうしてみると多くのケースブックが電子書籍に対応しているのですね。紙で買うのか、電子書籍で購入するのか、迷いどころです。

Overleafを用いたLaTeXでの原稿作成

 私事ですが、私は、LaTeXを使って原稿を執筆しています。LaTeXを使用することのメリットは、複数の種類のメモを書き込みながら、原稿の作成を進めることができることだと思います。

 参考として、Overleafに書きかけの原稿をアップロードしました

 Overleafは、LaTeXで原稿を執筆できるオンラインサービスです。まだ、執筆自体をオンラインに移すつもりはないのですが、日本語が使えるのかどうかを確認したくて試してみたところ、あっけなく使えました。ご興味がある方の参考になれば幸いです。

Goldman Sachs Group Inc. v. Arkansas Teacher Retirement System decided

 この判例は、いつか検討したいです。『アメリカ法』から依頼が来るでしょうか。

〔2021年11月22日追記〕

昨年の判例評釈の対象は、法定で口頭弁論をしていたので新しい口頭弁論の形式(リモートでの口頭弁論)は初めて聞きました

  • 第1に印象に残ったのは、トマス裁判官が質問しているという点でしょうか。証券訴訟で発言が聞けるのは興味深いです。裁判官が自分の時間がなくなったといって質疑を打ち切ることが多いのが印象的です。時間が一時間で終わらなくなっている点は、仕方ないのでしょうか。合衆国の代理人への質疑が10分で終わらなくなっています。
  • 第2に、Shanmugam氏の口頭弁論を聞くのは初めてではないのですが(前回は、Williams & Connollyのパートナーだったように思います)、模範的な口頭弁論という印象を改めて持ちました。判例の紹介を執筆する側からしてみても、受け答えが明晰で大変ありがたいです。
  • 第3に、QP1やQP2という用語が使われているのですが、これは最近の現象でしょうか。そもそも、これが何の略なのかもわかりません。questions presentedでしょうか。

〔2021年10月19日追記〕

 期待通り(?)、アメリカ法から判例紹介の依頼が来ました。私が、アメリカ法、比較法学及び成蹊法学に執筆した紹介・評釈は、次の通りです。

  • Morrison v. National Australia Bank, 130 S. Ct. 2869 (2010)
  • Janus Capital Group, Inc. v. First Derivative Traders, 131 S. Ct. 2296 (2011)
  • Amgen Inc. v. Connecticut Retirement Plans and Trust Funds, 133 S. Ct. 1184 (2013)
  • Halliburton Co. v. Erica P. John Fund, Inc., 134 S. Ct. 2398 (2014)
  • Omnicare, Inc. v. Laborers District Council Construction Industry Pension Fund, 135 S. Ct. 1318 (2015)
  • Salman v. United States, 137 S. Ct. 420 (2016)
  • Cyan, Inc. v. Beaver County Employees Retirement Fund, 138 S. Ct. 1061 (2018)
  • Lorenzo v. Securities & Exchange Commission, 139 S. Ct. 1094 (2019)
  • Liu v. Securities & Exchange Commission, 140 S. Ct. 1936 (2020)
  • Goldman Sachs Group Inc. v. Arkansas Teacher Retirement System, 141 S. Ct. 1952 (2021) ←New!

 研究会報告では、以下の2つの判決も行いました。

  • Matrixx Initiatives, Inc. v. Siracusano, 131 S. Ct. 1309 (2011)
  • Erica P. John Fund, Inc. v. Halliburton Co., 131 S. Ct. 2179 (2011)

John C. Coffee, Jr., Hillary A. Sale & Charles K. Whitehead, Securities Regulation: Cases and Materials (14th ed. 2020)の更新部分

 第13版から細かい点で色々と変わっている点があるようですが、主要な更新点として、次の部分が挙げられるように思います。思ったよりも判例の追加が少ないです。ぼちぼち読もうと思いますが、一緒に購読をしてくださる方がいらっしゃればお知らせください。

  • 第1章
    • E. The Role of Gatekeepers 45
    • F. Decline in IPOs 48
  • 第2章
    • The JOBS Act and the FAST Act: Rationale and Impact 141
    • New Developments 147
  • 第4章
    • F. “Tokens” and Other Digital Assets 356
    • Securities Act Release No. 81207 356
    • Re: Pocketful of Quarters, Inc. 362
  • 第7章
    • A. Spin-Offs, Reverse Mergers, and the Shell Game 541
  • 第9章
    • A. Regulation Best Interest 767
  • 第11章
    • F. Statute of Limitations 993
    • G. Concurrent Jurisdiction 994
  • 第12章
    • 3. Rule 14a–9: Proxy Fraud 1176
    • A. Implied Cause of Action 1177
    • B. Materiality 1177
    • Notes on Materiality: What Facts Are Material? 1178
    • C. Culpability 1182
    • Notes on Culpability Under Rule 14a–9 1184
    • D. Causation 1184
  • 第13章
    • D. The Second Circuit’s Gift Theory 1220
    • United States v. Martoma 1220
    • F. 18 U.S.C. § 1348 1235
    • United States v. Blaszczak 1236
    • Statutory Developments 1286
  • 第14章
    • B. Disgorgement and Ancillary Relief 1305
    • Liu v. SEC 1305
    • Notes on Disgorgement Remedy 1316
    • Notes on Injunctions and Receiverships 1317
  • 第15章
    • B. Reliance on the Advice of Counsel 1457
    • 3. Stock Parking and “Regulatory” Violations 1457
    • United States v. Mulheren 1459
    • Problem 15-1 1471
    • 4. Criminal Prosecutions Under Title 18 1471

米国証券規制

 米国証券規制の勉強を独学でするのは、難しいように思えます。ただ、金融商品取引法をある程度理解しているのであれば、母法である米国証券規制もある程度は独学できるようにも思えます。

 米国証券規制を勉強するのであれば、私の一押しは、James D. Cox, Robert W. Hillman, Donald C. Langevoort, Ann M. Lipton & William K. Sjostrom, Securities Regulation: Cases and Materials (9th ed. 2019)です(異論はあろうかと思います)。理由は、証券法制に対するメンテナンス具合が一番緻密だからです。版が変わると、細かいところが修正されていることが多く、それを実感できます。第9版で著者が増え、構成が少し変わった所があり、読者としては戸惑いもありますが、長期的には、その方が良いのでしょう。

 次に、挙げるべきは、John C. Coffee, Jr., Hillary A. Sale & Charles K. Whitehead, Securities Regulation: Cases and Materials (14th ed. 2020)でしょうか。こちらも定番でして、人によってはCHLLSよりもこちらの方を評価するかもしれません。確かに、ケースブックとしての伝統や格式は、こちらのほうが上であるように思えます。もとを辿るとRichard W. Jennings & Harold Marsh, Jr, Securities Regulation: Cases and Materials (1963)です。

 ここで、Stephen J. Choi & A.C. Pritchard, Securities Regulation: Cases and Analysis (5th ed. 2019)を挙げます。この書籍は、情報開示を中心に勉強するのであれば、十分な情報を提供するものと思います。しかし、業規制や他の分野の説明が十分ではないという欠点があります。実務家が情報開示を勉強する場合限定という感じでしょうか。

 次に、Hazen先生の著作です。Hazen先生の著作は、調べ物に向いているように思えます。

 最後に、Louis Loss, Joel Seligman & Troy Paredes, Securities Regulation (4th ed. 2006)とLouis Loss, Joel Seligman & Troy Paredes, Fundamentals of Securities Regulation (7th ed. 2018)に言及しておきます。前者は、学習用というよりは、調べ物のためだと思います。もちろん、証券規制を専門にするのであれば、前から読み進めるということもできると思いますが、どこまで論文の役に立つかは疑問です。後者は、前者よりは学習に向いていると思いますが、出版のタイミング等との関係で必要な情報が載っているのかご確認ください。権威があるので、論文執筆時に参照すると良いでしょう。

 また、幾つかの書籍が日本語で出版されております。論点を理解したり、全体像を掴むために最初に読むのに有益という気がします。

〔2022年1月17日追記〕

 米国では、学習用にhornbookがありまして、証券規制も例外ではありません。最近は、あまり読みませんが(そういえば、新版は買ってもいません)、勉強し始めた頃は、複雑な規制が整理されていて役に立ちました。忘れてしまった論点を思い出す場合にも有益なように思えます。

 まずは、安定のPalmiter先生です。新版が出ていることに今気づきました。定期的に改定してくださっているので、ありがたいことです。Hazen先生のものは読んだことがありませんので、コメントを控えます。

 一応、GilbertのSecurities Regulationも挙げておきます。個人的には、こちらの方をよく参照しましたが、今となっては古いため、こちらを参照するのは控えたほうが良いように思えます。

Emacsで一部の全角文字を半角にする

 法律文書では、「3月13日」のように、数字を全角にするものが見受けられます。しかし、執筆する原稿等では、すべてを半角にする場合も多いのではないでしょうか。そこで、全角を半角にするマクロがあればありがたいということになります。

 このようなマクロがgithubにあります。ここで微修正する点は、私が執筆する原稿では、丸括弧を半角にする必要がないし、また、その他の文字についても半角にする必要ないものがあるということです。

 それらを除外した設定は、次の通りです。init.elに設定をすれば、M-x normalize-charsで呼び出すことができます。

(require 'ucs-normalize)
(prefer-coding-system 'utf-8)
(setq file-name-coding-system 'utf-8-hfs)
(setq locale-coding-system 'utf-8-hfs)
(defun normalize-chars ()
  "Normarize chars."
  (interactive)
  ;; 選択範囲があればそこを対象にする
  (let (type
        beg
        end)
    (if (region-active-p)
        (progn
          (setq beg (region-beginning))
          (setq end (region-end)))
      (progn
        (setq type (read-string "normalize whole buffer?(y, n): " nil))
        (if (string= type "y")
            (progn
              (setq beg (point-min))
              (setq end (point-max)))
          (error "Error: no target region"))))
    (japanese-zenkaku-region beg end t)
    (japanese-hankaku-region beg end t)
    (ucs-normalize-NFC-region beg end)))

;; 音引、句読点等を除外
;; thx http://d.hatena.ne.jp/khiker/20061014/1160861915
(put-char-code-property ?ー 'ascii nil)
(put-char-code-property ?~ 'ascii nil)
(put-char-code-property ?、 'ascii nil)
(put-char-code-property ?。 'ascii nil)
(put-char-code-property ?, 'ascii nil)
(put-char-code-property ?( 'ascii nil)
(put-char-code-property ?) 'ascii nil)
(put-char-code-property ?[ 'ascii nil)
(put-char-code-property ?] 'ascii nil)
(put-char-code-property ?〔 'ascii nil)
(put-char-code-property ?〕 'ascii nil)
(put-char-code-property ?= 'ascii nil)
(put-char-code-property ?〈 'ascii nil)
(put-char-code-property ?〉 'ascii nil)
(put-char-code-property ?< 'ascii nil)
(put-char-code-property ?> 'ascii nil)
(put-char-code-property ?. 'jisx0208 ?.)

株式発行に関するニューヨーク証券取引所の規則改正

The changes will: require shareholder approval of cash sales to related parties only at prices less than the current market price (assuming the 20% rule and change of control rule discussed below do not apply);

no longer require shareholder approval for share issuances to related parties’ subsidiaries or affiliates (unless a related party has a 5% interest in the company or assets being acquired with the share issuance); and

require shareholder approval of any transaction where a related party has a 5% interest in the company or assets being acquired with the share issuance (or related parties collectively have a 10% interest), when the issuance results in a 5% increase in outstanding shares or voting power.