クラウドファンディング(5)—新興企業活性化法の301条から305条の概要

新興企業活性化法(JOBS Act: Jumpstart Our Business Startups Act of 2012)で改正された証券法の条文の概要

新興企業活性化法のクラウドファンド関連条文は,第3編に位置しており,これは301条から305条までの5条文からなります。また,条文は,基本的に,1933年証券法を修正するものとなっています。まず,それぞれの条文が,証券法のどの部分を変更しているのかについて概観します。

理論的な検討等は別途するつもりなので,ブログでは,単に条文がどうなっているかを解説するだけの翻訳のようなものです。

301条

  • 301条は,新興企業活性化法の第3編が「詐欺や非倫理的な不開示を抑制しつつ行うオンラインを通じた資金調達法」(Capital Raising Online While Deterring Fraud and Unethical Non-Disclosure Act of 2012)または「クラウドファンド法」(the CROWDFUND Act)と呼称されうると述べます1

302条

  • 302条(a)項は,証券法4条に(6)号を追加します2 。新興企業活性化法の201条(b)項が証券法4条に「項」の概念を導入しているため,実際は,証券法4条(a)項(6)号の追加となるべきです。クラウドファンディングの基本的な4つの要件((1) 発行総額,(2) 各投資家の購入上限,(3) ブローカーまたは資金調達窓口を介する取引であることおよび(4) 発行者の要件)を定めます。

  • 302条(b)項は,証券法4A条を追加します3

    • 証券法4A条(a)項は,クラウドファンディングの仲介者であるブローカーまたは資金調達窓口の要件を定めます。
    • 証券法4A条(b)項は,クラウドファンディングを用いる発行者の要件を定めます。
    • 証券法4A条(c)項は,クラウドファンディングに適用される民事責任を定めます。
    • 証券法4A条(d)項は,証券取引委員会が規則により,ブローカーまたは資金調達窓口に対して,クラウドファンディングに関する情報を米国の州当局等に開示しなければならないことを定めます。
    • 証券法4A条(e)項は,クラウドファンディングによって販売された証券の転売に関する規制を定めます。
    • 証券法4A条(f)項は,クラウドファンディング規則の適用範囲を定めます。
    • 証券法4A条(g)項は,クラウドファンディング規則の適用が任意であることを定めます。
    • 証券法4A条(h)項は,クラウドファンディングに定める金額基準が消費者物価指数に基づいて5年毎に調整されることならびに純資産および収入の計算がレギュレーションDの特定投資家(accredited investor)の計算方法に従うことを定めます。
  • 302条(c)項は,証券法取引委員会に対してクラウドファンディングに関する規則制定義務を課し,規則制定期限を定めます4

  • 302条(d)項は,証券取引委員会がクラウドファンディングを用いることができない発行者ならびにクラウドファンディングに参加することができないブローカーおよび資金調達窓口の欠格要件(disqualification)を定めます。

303条

  • 303条(a)項は,取引所法12条(g)項に6号5 を追加して,クラウドファンディングにより取得された証券が,取引所法12条(g)項に基づく外形基準に基づく登録義務に関する計算に関して,算定されないように証券取引委員会に規則を定める義務を課します。

  • 303条(b)項は,当該規則が新興企業活性化法の成立から270日以内(2012年12月31日)に制定されなければならないと定めます。

304条

  • 304条(a)項(1)号は,取引所法3条に(h)項を加えます。取引所法3条(h)項は,証券取引委員会に対して,資金調達窓口が,取引所法15条(a)項(1)号の登録免除される旨の規則制定義務を定めます6

  • 304条(a)項(2)号は,証券取引委員会による規則が,新興企業活性化法の成立から270日以内(2012年12月31日)に制定されなければならないと定めます。

  • 304条(b)項は,取引所法3条(a)項に(80)号を追加します。取引所法3条(a)項に(80)号は,資金調達窓口の定義を定めます。

305条

  • 305条(a)項は,証券法18条(b)項(4)号(C)を追加します。新たな証券法18条(b)項(4)号(C)は,クラウドファンディングによって販売された証券が連邦法の専占の対象となる証券に含まれることを定めます。305条(a)項は,改正前の証券法18条(b)項(4)号(C)および(D)をそれぞれ,証券法18条(b)項(4)号(D)および(E)とする旨規定します。新興企業活性化法401条(b)項が証券法18条(b)項4号(D)を追加しているため,現在,証券法18条(b)項(4)号(D)は,2つの条項があることになります7

  • 305条(b)項は,(1)号にて,クラウドファンディングの規制が証券の登録(registration, documentation and offering requirements)に関する適用免除を定めたものであり,州の法執行権限を制限するものではないと定めます。また,(2)号において,クラウドファンディングに基づく詐欺的な取引の州の規制権限が定められています。

  • 305条(c)項は,証券法18条(c)項(2)号に(F)を追加しました。証券法18条(c)項(2)号(F)では,クラウドファンディングに関する証券について,書類提出の費用を州が賦課することが禁止されています。

  • 305条(d)項は,(1)号において,取引所法15条(i)項に(2)号を加えて資金調達窓口に関するある種の連邦法の専占を定め,また,(2)号で証券法18条(c)項(1)号を修正しています。

  1. JOBS Act, Section 301. []
  2. JOBS Act, Section 302(a) (codified as 15 U.S.C. Section 77d(a)(6) ). []
  3. JOBS Act, Section 302(b) (codified as 15 U.S.C. Section 77d–1). []
  4. 新興企業活性化法が成立した後270日以内と定められており,これは2012年12月31日です。この規則制定期限は,順守されませんでした。 []
  5. 15 U.S.C. 78 Section 78l(g). []
  6. 15 U.S.C. Section 78c(h)(1). []
  7. See Sec. \& Exch. Comm’n, Securities Act of 1933, 59 n.13. []

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