Chadbourne & Parke LLP v. Troiceは,1998年証券訴訟統一基準法(SLUSA: Securities Litigation Uniform Standards Act of 1998)の適用の有無を争う合衆国最高裁判所の判決です。判決の原文を挙げます。
〔2014年3月2日追記〕簡単にですが,関連する資料を挙げます。
- Roland v. Green, 675 F.3d 503 (5th Cir. March 19, 2012)
- Chadbourne & Parke LLP v. Troice, Petition for a Writ of Certiorari, 2012 WL 2930913 (Jul. 18, 2012)
- Chadbourne & Parke LLP v. Troice, 133 S.Ct. 977 (mem) (January 18, 2013)
- Chadbourne & Parke LLP v. Troice, 2014 WL 714697 (Feb. 26, 2014)
本件は,1998年証券訴訟統一基準法(SLUSA: Securities Litigation Uniform Standards Act of 1998)の適用の有無を争うものです。そして,原告が適用を否定する主張をして被告が,適用を主張しています。CDに対して,1998年証券訴訟統一基準法が適用となるのかという点も,興味深い論点ですが,これについては評釈がでると思うので,とりあえずそれ以外に思いついた点を書きます。
第一に,その原告が勝訴したので,これは,証券訴訟を助長する判決だと捉えられるかもしれません。実際,判決は,7対2なのですが,法廷意見側にリベラル派の4名の裁判官が含まれています。しかし,州の主権を重視するか(それとも連邦政府の権限を広く認めるか)という観点からも検討ができます。この場合,リベラル派の裁判官は,通常,連邦の権限を認める方向に傾きがちだと思います(この点はあまり自信がありません)。Rehnquist首席裁判官やRoberts首席裁判官は,州の主権を重視する立場の裁判官で,この主義によってRoberts首席裁判官を取り込めたのだという気がします。すると,次に,長期的に見て,州の権限の強化が証券訴訟にどのような影響が与えるのかが気になります。この予想は,とても難しいです。
第二に,本件において,なぜ原告が,州裁判所に訴えを提起したかという理由です。どこかで既に解説があるのかもしれませんが,Central Bank判決およびJanus判決等の二次的行為者について,連邦裁判所が,流通市場での証券の取得に対する民事責任を認めていないからでしょうか。