本社から離れた場所で開催する株主総会は,つまり…

M&A Law Profが面白い論文として,Temple大学のLi教授とNYUのYermack教授Evasive Shareholder Meetingsを挙げていました。

OK, I’ll just say it. I think David Yermack is the most talented selector of paper topics out there. His series of tailspotter papers was great.

この論文は,株主総会がどれくらい本社から離れているかと,企業の業績等についての相関関係を調べた実証研究です。

We study the location and timing of annual shareholder meetings. When companies move their annual meetings a great distance from headquarters, they tend to announce disappointing earnings results and experience pronounced stock market underperformance in the months after the meeting. Companies appear to schedule meetings in remote locations when the managers have private, adverse information about future performance and wish to discourage scrutiny by shareholders, activists, and the media. However, shareholders do not appear to decode this signal, since the disclosure of meeting locations leads to little immediate stock price reaction. We find that voter participation drops when meetings are held at unusual hours, even though most voting is done electronically during a period of weeks before the meeting convenes.

M&A Law Profは目の付け所が面白いと仰っています。確かに,なかなか思いつかないアプローチだと思います。実証研究が可能な程度のサンプルがあるテーマ(一万弱となっています)というのは思いの他多いのかもしれません。最近,実証研究のテーマを考えていたのですが,創造的になれば,幾らでもテーマというのはあるのだと思い知らされました。

via M&A Law Prof Blog, SSRN

本社から離れた場所で開催する株主総会は,つまり…」への9件のフィードバック

  1. 日本において株主総会の開催地は定款で本店所在地か、東京と定めていることが多いと思うのですが、アメリカは違うのでしょうか?
    もし本店所在地か東京と定款に定めているなら、日本においてこの研究は成立しないように思いました。
    ご教授頂けると幸いです。

  2. 私も詳しくないのですが,論文の中では,次の通り記載されています。

    > Companies have great freedom to select the location, day of the week, and start time of their annual meetings. While a variety of regulations require that meetings must take place, the rules are largely silent about the logistical details. A company’s bylaws may sometimes specify a recurring date or location for shareholder meetings each year, but usually the bylaws give the board of directors flexibility in choosing the site. As a typical example, Section 1.01 of the Bylaws of JPMorgan Chase & Co. states that the annual meeting shall occur “. . . at such time and place, if any, within or without the State of Delaware, as may be specified in the notice thereof, as shall be fixed by the Board of Directors of the Corporation.”

    相対的な距離が重要なので,本店所在地以外で開催される株主総会とそれ以外を比較するとか,そもそも定款で本店所在地と書いてない会社と書いてある会社の業績を比較するとか,モデルはいくらでも考えられそうな気がします。コメントありがとうございました。

  3. 返答ありがとうございます。
    アメリカ企業の本店所在地は税率等の問題でデラウェア州であることが多いとは思いますが、株主総会に出席する株主は全米に分散しているのかなと想像します。
    日本の場合、企業は東京を本店所在地とし、株主も東京圏に集中しているのかなと想像します。
    このことを考えると、東京を本店所在地とする日本企業が東京から離れた所で株主総会を開く場合アメリカ以上に出席率の低下する気がしますね。

    • そうですね。日本の場合,距離はあまり関係がない気がしてきました。本店所在地以外で株主総会を開催する理由として,(出席/個人)株主数が多いということが考えられて,それをコントロールすれば,有意な結果がでないような気がします(でたら,それはそれで面白いのですが)。

      商事法務の2032号の論文で,Yermack先生の論文が引用されている(44頁注21)ことに今頃気づきました。同論文の検討事項は,業績との関係ではないのですが,説明変数に「集中日の回避」があります。本社と株主総会の会場というよりも,株主総会集中日からどれくらいの日数が離れているかという方が日本の場合には変数として適切でしょうか。

  4. 紹介して頂いた商事法務の2032号の森田先生の論文読みました。最近「実証分析入門」という本で話題になった方ですね。P36の図表1で「予想される所要時間」を被説明変数にして分析されています。「予想される所要時間」と業績の関係は明らかではないように思いますが、業績が悪化すれば株主からの質問は多くなって、(実績および予想)所要時間は長くなるように思います。けれども、森田先生の論文では、説明変数「集中日回避」は有意でない上、符号はマイナスになっているので業績と集中日回避で統計分析しても良い結果が出るのか疑問には思いました。

    ところで私、3月に湯原先生に教えていただいた者です。

    • そうでしたか。その後はどうでしょうか?講座が役に立っていると良いのですが。

      2014年8月25日から28日までの間,再度,準備講座で日本橋に伺う予定です。前回頂いたご指摘を活かしたいと思っております。

  5. 毎回1時間近くも授業後に質問に答えてくださって、大変勉強になりました。

    今期は岸田先生のゼミを聴講させて頂いておりましたが、来期は経済学の観点から深堀するか、法学研究科で1つ(こちらでも授業持たれている若林先生あたり?)受けようか、考えているところです。

    • これはなかなか難しいですね。将来役に立つ授業が良いと思うのですが,必要があれば,相談に乗りますのでメール下さい。

  6. 課題とテスト前ということで遅れてしまい申し訳ありませんでした。こちらのブログに書かれているアドレスと以前やりとりさせていただいたメールアドレスとどちらにお送りすればいいでしょうか??

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