早稲田大学高等研究所の2017年度研究員募集

 私は,2015年4月に早稲田大学高等研究所に入所し,2016年4月に成蹊大学に転出しました。所属期間は,わずか一年間であったものの,そこで得られた時間や経験は,私の今後のキャリアに大きな影響を与えると思います。まずは,同研究所の特徴や利点を紹介し,次に,どのような法学者が同研究所に適しているかについて私見を述べます。

 第一に,同研究所は,学際的な機関です。毎年,10から15名程度の新たな研究者が採用されます(私の年は15名でした)。おおよそ3分の1ずつ自然科学,社会科学及び人文科学の研究者が採用されます(今年は,社会科学の分野の研究者が少ないようです)。各研究者の専門性が高いために,共同研究が行われることは少ないようですが,他の研究分野の優秀な研究者と交流する機会を得ることができ,研究内容や研究手法,当該研究分野の考え方など,様々な点で刺激を受けることができます。

 第二に,同研究所では,公用語として英語が用いられており,研究機関で英語を用いる良い機会となります。特に,法学の研究者の場合,英語で報告したり議論をしたりする機会がそれほど多くありません。同研究所には,複数の海外からの研究者も所属しています。

 第三に,同研究所では,研究に専念できます。教育の義務は,相当程度限られていますし,学務もほとんどありません。このため,多くの時間を研究に割くことができます。他の研究分野と比較して,法学の場合,個人で研究するものですし,研究に必要となる研究費も多く必要ありません。このため,同研究所に所属することにより,最大限の利益を得ることができます。

 第四に,早稲田大学での研究環境が良いということです。古いものの,それなりの広さのある個人研究室を割り当てられ,同大学の電子データベースを用いることができます。これにより,私の専門分野である米国の法律に関して,おおむね資料の入手が可能です。図書館にも多くの関連書籍がありますし,これも有用です。法学研究科の授業が行われる建物に研究室があるため、私は、大学院の授業にも一部参加していました。

 早稲田大学高等研究所への応募要項は,別途同研究所のウェブサイトに掲げられているためそこに譲りますが,私が考える同研究所に適した研究者は,次の通りです。

 第一に,20代から30代の研究者で,博士号を取得した方です。私の年の応募者は,15人の採用に対して,496名でした。社会科学については,173名の応募があり,採用が5名でした。私の年は,法学の採用が2名でしたが,前年は1名で,その前は,ゼロであるように思います。私の年に採用された者は,すべて博士号を保有していました。また,私の年の採用は,すべて助教でした。ただ,今年は,准教授の採用もあったようです。社会科学の分野での法学以外の採用としては、政治学、経済学、教育学の先生がおられます。私の年の採用について,高等研究所のまとめがあります

 第二に,法学を科学的な手法で研究する方です。このため,法と経済学(法の経済分析)か統計を用いた実証研究を行うことができるほうがよいと思います(これらに限られませんが)。研究分野は,どの分野でも構わないと思います。経済分析というと,商法や独占禁止法が思い浮かびますが,税法,手続法や国際法もありえますし,論理学を数学的に研究している法哲学者なども,同研究所には,適性があるように思います。

 第三に、英語で議論及びプレゼンテーションができる方です。全体としてみれば、論文を英語で既に発表している研究者や、英語圏の大学院を卒業して学位を得ている研究者がほとんどだと思います(英語に加えて、中国語、ロシア語などの他の言語ができる研究者もいます)。私の年の新任の研究者は、英語圏で修士または博士の学位を取得したか、英語で論文を発表していると思います。

 ご参考になれば幸いです。

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