企業価値評価

 ファイナンスに続いて企業価値評価に関する書籍を紹介します。

 私がソニー時代に読んだものとして、まず、K・G・パレプ=P・M・ヒーリー=V・L・バーナード(斎藤静樹監訳)『企業分析入門』(東京大学出版会,2001)が挙げられます。他の類書と比較して、迂遠だと思われる内容が多いような気がしますが、当時は、知らないことが多く、とても参考になりました。発展的な内容を理解する上での基礎知識として有用でしょう。英語版は、Krishna G. Palepu & Paul M. Healy, Business Analysis and Valuation: Using Financial Statements (5th ed. 2015)だと思います。

 財務部時代には、証券会社のアナリストレポートに対するアクセスがあり様々な会社の少なくとも数百のアナリストレポートは読んだような気がします。今はよく存じ上げないのですが、当時、JPMやCは、DCFを用いた企業価値評価をアナリストレポートに掲載していることが多く、場合によっては、計算に用いたエクセルシートにアクセスすることもできました。他方、GSの無駄を排してA4で1枚から2枚に纏まったPER重視のアナリストレポートからは、市場での関心がどのような点に向いているのかを教えられました。また、Bloombergにアクセスすることもできましたし、I/B/E/Sへのアクセスもありました。今となっては、証券会社が用いるデータベースも様々ですが、一会社員にしては、色々な情報に触れて、市場の動きや考え方を理解する上で有益だったように思えます。

 次に読んだのは、Shannon P. Pratt & Alina V. Niculita, Valuing a Business: The Analysis and Appraisal of Closely Held Companies (5th ed. 2008)だったように思います。当時は、第4版でした。この書籍で、企業価値評価の基本を学んだように思います。また、今から考えると、早いうちから非上場会社の企業価値評価の難しさに触れた点が有益でした。Amazonによると、2021年末にShannon Pratt & Roger Grabowski, Valuing a Business: The Analysis and Appraisal of Closely Held Companies (6th ed. 2021)が出版されるようです。

 留学前には、鈴木一功『企業価値評価〔実践編〕』(ダイヤモンド社,2004)と首っ引きでした。当時、企業価値評価の実務について解説する書籍が限られていたため、この書籍が実務的な側面を解説しているのはとても有用でした。長らく在庫切れだったと記憶しているのですが、今では、Kindle版も出版され、アクセスしやすくなっています。数年前に著者にお目にかかった際に、同書から多くを学んだ点と新版を出してほしいという個人的な希望をお伝えしました。それが原因だったとは思わないのですが、鈴木一功『企業価値評価〔入門編〕』(ダイヤモンド社、2018)が出版されています。

 次は、マッキンゼー・アンド・カンパニー『企業価値評価〔第6版〕上』(ダイヤモンド,2016)及びマッキンゼー・アンド・カンパニー『企業価値評価〔第6版〕下』(ダイヤモンド,2016)です。当時は、第4版の翻訳でした。この書籍によって、企業価値評価を学ぶことが容易になったように思います。英語版は、McKinsey & Company Inc., Valuation: Measuring and Managing the Value of Companies (7th ed. 2020)で、第7版が出ています。

 留学前からダモダラン先生のお名前は伺ったことがあるのですが、その著作を読んだのは、留学後でした。企業価値評価関連で、多くの著作がありますが、Aswath Damodaran, Damodaran on Valuation: Security Analysis for Investment and Corporate Finance (2d ed. 2006)は、多く参照されるものの一つです。

 企業価値評価は、他にも色々とありそうですが、代表的なもので直ぐに思い浮かぶのは以上ということで。

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