マスク氏によるツイッター社への買収提案2

買収合意

Musk Elon, Amendment to General Statement of Acquisition of Beneficial Ownership (Schedule 13D/A) (Apr. 26, 2022)

添付資料は、次の4つです。

  • Exhibit G: Letter, dated April 24, 2022

 Exhibit H-Jは、既存の契約の修正になっています。Debt Commitment Letterは、コミットメントの有効期限の条件が変更されています(Section 15)。Margin Loann Commitment Letterは、コミットメントの有効期限の更新回数を半年から1年に延長しています。Equity Commitment Letterの修正点は多岐にわたっております。従前の契約は、買収提案に基づいて規定されていましたが、修正後は、締結した買収契約に基づくものになっています。

Twitter, Inc., Current Report (Form 8–K) (Apr. 26, 2022)

 添付ファイルは、次の2つです。

  • EX-2.1: Agreement and Plan of Merger, dated April 25, 2022, by and among Twitter, Inc., X Holdings I, Inc., X Holdings II, Inc., and, solely for the purposes of certain sections, Elon R. Musk.
  • EX-4.2: Amendment No. 1 to Preferred Stock Rights Agreement, dated as of April 25, 2022, by and between Twitter, Inc. and Computershare Trust Company, N.A., as rights agent.
    • ポイズン・ピルに関する契約の修正で、マスク氏との買収合意に基づいて、ポイズン・ピルが発動しないようにしています。

所感(2022年5月6日)

  • 現金、54.20ドルが受け容れられた点は、意外でした。Kabuki dance1 で、一度は価格が不十分だとはねつけると思ったのですが、マスク氏の “best and final”という脅しが奏功したのでしょうか(”best and final”という点は、2022年4月24日付のletterでも強調されています)。だとしたら、相当の交渉上手です。合意の背景は、公開買付の際に開示されると思いますので、それで交渉経緯がある程度判明するはずです(ごく簡単なもので詳細はわからないかもしれません)。TWTRの数年後の再上場の可能性が報道されておりましたが2 、買収時の企業価値算定と再上場時の企業価値を比較してみたいものです。
  • 本件は、買収防衛が可能だった事案だと思います。それにもかかわらず買収合意が成立したのは、取締役の信任義務や買収合意が取締役個人にとっても魅力的だったという事情があるのでしょう。後者の分析は、専門家に委ねたいです。前者についていえば、もし、54.20ドルが高すぎて取締役が受け容れざるを得ないということであれば、相当高値での買い物になるということを意味します。TWTRに一株54.20ドルの価値があるのか、買収後の経営改革が注目です。
  • 今回の開示で興味を惹かれる点は多いのですが、そもそも取引のストラクチャーをどのようにするのかが重要でしょう。この点、本件では、一段階の合併が選択されました。いわゆる逆三角合併で、買収者が子会社を設立して、子会社とTWTRが合併し、TWTRが存続会社となります。
  • break-up fee及びreverse break-up feeは、それぞれ10億ドルに設定されています。取引金額の約2.5%のようです。取引金額との比較でいけば、法的な問題を生じない程度に十分低い。絶対額として10億ドルは大きいのですが、過去に実際に支払われたbreak-up feeの最大額って幾らなのだろう。AT&T T-Mobileでしょうか3
  1. Guhan Subramanian, Fixing Freezeouts, 115 Yale L.J. 2, 41 (2005). []
  2. Cara Lombardo & Eliot Brown, Elon Musk Plans to Take Twitter Public a Few Years After Buyout (May 3, 2022). []
  3. 2014年までの状況について、 Maureen Farrell, AbbVie’s Termination Fee Is the Third Largest Ever Paid, Wall St. J. Online (Oct. 16, 2014) 参照。 []