via N.Y. Times, Bloomberg
「Pershing Square」タグアーカイブ
アクティビスト株主が協力する企業買収とインサイダー取引(3)
時期を逸してしまいましたが,今更気づいたので採り上げておきます。Valeant PharmaceuticalsとPershing SquareによるAllerganに対する買収提案に関して,Allerganがインサイダー取引違反として,連邦裁判所に訴えたようです。
訴えの内容は,取引所法14条(a)項,14条(e)項,13条(d)項および20A上違反を訴えています。これらに基づいて,違法に購入した株式購入の解除(rescind [] purchases)を含めた宣言的または衡平法上の救済,損害賠償および差止めを求めています。
Allerganの代理人がLatham and Watkins LLPおよびWachtell Lipton Rosen and Katzで,Valeantの代理人がSullivan and Cromwell LLPで,Pershing Squareの代理人がKirkland and Ellis LLPです。
via N.Y. Times Dealbook, Allergan press release, Justia
アクティビスト株主が協力する企業買収とインサイダー取引 (2)
副題をつけるのであれば,米国におけるインサイダー取引規制のループホールの話題ということでしょうか。ループホールは言い過ぎかもしれませんが,「アクティビスト株主が協力する企業買収とインサイダー取引」で取り上げたValeant社とPershing SquareによるAllergan社への買収提案について,その後の議論を紹介します。
判例法理が変わるものではないですが,興味深い事例だと思います。
アクティビスト株主が協力する企業買収とインサイダー取引(1)
Bill Ackman, CEO of Pershing Square Capital Management
activist shareholderに反対する意見ばかり読んでいたので,偶には,逆の意見も良いものです。
via The Big Picture, Charlie Rose
Pershing Square v. Air Products
「Pershing SquareによるAir Productsの持分取得」の続きです。前回,Davidoff教授のコメントを紹介しましたが,今般,Bainbridge教授がコメントしています。
Pershing SquareによるAir Productsの持分取得
Air Products v. Airgasで買収する側だったAir Productsが,Pershing Squareによる買収の対象になったという話題です。Schedule 13Dによると,Pershing Squareは,9.8%の持分を取得したようです。
組織再編の訴訟に発展する可能性は少ないと思うのですが,それでもなにか起こるのではないかと期待してしまいます。
William Ackman: Everything You Need to Know About Finance and Investing in Under an Hour
少し古いですが,Pershing SquareのBill Ackmanによる,ファイナンスおよび投資に関する一時間のビデオです。
米国での市場での株式の買い集めの研究
概説
米国での大量保有報告に関する開示規制を理解する前提として、実際の株式の市場での買い集め(market sweep)を理解するために、Pershing SquareによるJ.C. Pennyの株式買い集めの事例を紹介する。これは、米国での大量保有報告(Schedule 13D)があまり役に立たなかった事例であると言える。
Pershing SquareによるJ.C. Pennyの株式買い集めの事例
2010年9月28日にPershing Square Capital Management LPは大量保有報告の対象となる5%の持分を超えたが、Schedule 13Dにより持分の取得を公開した2010 年10月8日には、16.5%を所有するまでになっていた1 。また、Pershing SquareはVornado Realty Trustと協調して持分の取得を進めたが、同トラストは2010年10月8日時点で9.9%の持分を有していた2 。つまり、大量保有報告の提出前に26.4%の取得が可能だったということである。
Pershing Squareは、2010年8月17日から普通株式の買い付けを始めた。2010年8月26日迄に普通株式の買い付けをほぼ終えている。この間、株価は、$19.82 から$20.32と微増している。恐らくここまでの買い付けで株式の4.99%を書い集めたものと思われる。
次に、9月28日にStock-Settled OTC Call Optionの契約を締結しており、この日にSchedule 13Dの提出要件である5%を超えた。その後、9月29日から10月6日まで株式を更に買い集め、10月7日には Cash-Settled Total Return Swap及びStock-Settled Listed Call Optionを大量に購入している。
2010年8月26日に$20.32だった株価は、2010年9月28日の時点で$26.11と漸増している。その後、Pershing Squareが最後に株式を買った2010 年10月6日には、$29.00、オプション等を購入した2010年10月7日には$32.49となった。
その後、J.C. PenneyはPershing Squareの圧力から9億ドルの自己株式の買い付けを発表し、また、Pershing Square及びVornado Realty Trustと株主契約を締結するに至っている。また、Bill Ackmanは2011年2月に取締役として選任され、来る株主総会での取締役候補となっている。尚、執筆時点でのJ.C. Penneyの株価は$35.81である。
Pershing Square Capital Management L.P
Bill Ackman率いるPershing Square Capital Management L.Pは業界の中で一目置かれている。それには様々な理由があり得るだろう。例えば、典型的なアクティビスト・ファンドである点、マクドナルド、家電量販店Target等の有名企業の株式を取得して企業価値向上を訴えた点、所謂モノライン会社のMBIAのビジネスモデルに欠陥がある点を早くから指摘した上でMBIAのCSDを買い利益を得たこと。しかし、ファンドの業績以上に説得力のある材料はないだろう。これもとても有名なので知っている人も多いと思うが、Pershing Square Q3 2010 Letter to Investorsを御覧あれ。
全く本件と関係ないが、Pershing SquareのGeneral Counselは元Wachtell, Lipton, Rosen & KatzのRoy Katzoviczである。彼の筆によるProxy Access and the Balance of Power in Corporate Governanceや、PLIでのセミナー(有料)が興味深い。
- Pershing Square Capital Management, L.P., Beneficial Ownership Report (Schedule 13D) (Oct. 8, 2010), available at http://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1166126/000095012310092199/0000950123-10-092199-index.htm. [↩]
- Vornado Realty Trust, Beneficial Ownership Report (Schedule 13D) (Oct. 8, 2010), available at http://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1166126/000090342310000566/0000903423-10-000566-index.htm. [↩]