William T. Allen (1948–2019)

 Allen教授は、1985年にデラウェア州の衡平法裁判所の大法官(Chancellor)に任命され、以後、12年の任期中に多数の有名な判決を執筆されました。2006年にニューヨーク大学のLL.M.プログラムに入学した際には、会社法プログラムのディレクターでした。

 Intercoは、Allen教授が大法官として執筆されたものの中で(その後最高裁判所に否定されているにもかかわらず)私のお気に入りの判決です。ニューヨーク大学在学中のlunchonセミナーの講演者が「デラウェア州最高裁判所がAllen裁判官の判決を覆したとしても、Allen裁判官がいつも正しい」というようなこといったのが印象に残っています。Allen裁判官のお話は、時に深淵で難しく、その真意を理解することが難しいことがありましたが、Interco判決の素晴らしさを含めて、今思い出して漸く意味が分かることも多いです。

 ニューヨーク大学でのKahan教授とAllen教授の演習では、Kahan教授に一歩も引かずに議論をされていました。スーツが良く似合い、多弁で、Blackberryを腰に下げていて、多忙な実務家を体現していました。演習の中のAllen先生の言葉で印象的なのは、会社法学で重要なのは、エージェンシー理論と情報の非対称性だと仰っていたことです。私が、エージェンシー理論と情報の非対称性にこだわるのは、この影響が強いように思います。

 私にとって、Allen教授は、とてもチャーミングな方で、いかめしそうな大法官という役職とは無縁な方でした。演習で、Lucian Arye Bebchuk, The Case Against Board Veto in Corporate Takeovers, 69 U. Chi. L. Rev. 973 (2002)を報告した際に、同論文の中に出てきたAllen大法官の「Omnipresent specter that a board may be acting primarily in its own interests」という一文を紹介したのですが、Allen先生は、鼻のしたをこすり、また、胸を張って誇らしげでした。そのコミカルなリアクションのおかげで報告の場がなごみました。また、卒業式のセレモニーで、会社法専攻の学生は、Allen教授に名前を呼ばれるのですが、演習に参加していた私の名前を呼ぶ際に、ウインクしてくれたことを覚えています。卒業後は、ニューヨーク大学のLL.M.を受験する学生を推薦するメールを送るくらいしか関係がありませんでしたが、いつも丁寧なメールを返してくれました。教職についたあとは、そのことを祝福し、「Congratulations This is a wonderful job as you know!」というメッセージを送ってくださいました。

 実務と学問のバランスに配慮し、規範的な議論や法政策に基づく議論をすることが重要であることを教えてくれましたし、今後もAllen教授に学ぶことは多いように思います。ご冥福をお祈りいたします。

via WLRK, Delaware Business Now, Delaware Judiciary, Chancery Daily, Professor Bainbridge, John C. Coffee Jr., Ronald J. Gilson, Jack B. Jacobs, Theodore N. Mirvis and Paul K. Rowe, Leo E. Strine Jr.,